こんにちは。Medi Magazine社会人部員の大木です。
今回は自己紹介も兼ねて、私の就職活動とメンタルヘルスについて書こうと思います。
自己紹介と就職活動
私は昨年まで学生をしていましたが、今年4月から社会人として働いています。
昨年は就職活動の年でしたが、内定が決まるまでは忙しいところで自分を高めたいというモチベーションでバリバリ就活をしていたのですが、就職先が決まった瞬間、自分にその職場で働いていく自信が全く持てなくなりました。内定ブルーと呼ばれる症状でした。
就職が決まるまでは自分のモチベーションの高さに自信があり、あまり働く先を選ぶのに迷わなかったのですが、就職先が決定し、現実的に働く環境が決定した瞬間、もっと楽な職場を選んでおけばよかったという後悔が出てきて、自分の気持ちの変化に驚きました。具体的に不安だった点としては、
・同期が接しにくい人だったらきつそう(内定式の時点でちょっと合わなさそうだと思った)。
・休みが全く取れないのではないか。
・上司と合わなかったらどうするか。怒られるのが怖い。
現在、今の職場で4か月働いてみて、思っていたよりはストレスが少ないと思っているのが正直な感想です。不安だったことの実際としては、
・同期→確かにキャラクターが合わなさそうな人もいた。ただ、合う人もいるし、同期とずっと一緒に仕事をするわけではなかった。
・休み→休みとは、自然とやってくるものではなく、自ら創造するものであることを知った。故に、休みを創造できるような働き方をすることが重要である。
・上司→合う人がいれば、合わない人もいる。なお、怒られるか怒られないかは運ゲーである。故に、怒られた場合は最低限の内容だけを直すにとどめて、後は運が悪かったとあきらめることが重要である。また、怒られた場合は反抗するのではなく積極的に負けに行き、一刻も早く怒られる時間を終了させ仕事に戻ることが重要である。
の感じでした。嫌なことはありつつも、あまり気にしない方法を身に着けた形です。
そのため、メンタル的には落ち着いています。
以上が自己紹介でした。職場のほかにも、Medi Faceという第二の居場所があるのも大きいと思います。Medi Faceに入社した経緯についてはまた別記事にてまとめます。

メンタルヘルスと社会人についての論文
最近読んだ論文で、新社会人のメンタルヘルスについてまとめたものがあるので紹介します。
「新卒社会人の社内サポートネットワーク構造がメンタルヘルスに及ぼす影響について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku1993/14/2/14_2_71/_pdf/-char/ja
この論文は、新卒社会人の入社半年後のメンタルヘルスを良好に保つための効果的なサポート体制についてまとめたものです。

方法
都内近郊の4大学を卒業する予定の男女890名に、自記式質問票を入社直前、3か月後、半年後の3回配布し、すべてに回答した180名を対象としています。質問票には心身症状、抑うつ、自尊感情、ワークモチベーションの項目が含まれ、仕事に役立つ情報をくれる情報的ネットワークと職場以外でも交流のある友好的ネットワークが及ぼす影響を調べています。
具体的な評価方法としては、
心身症状→CFSI(自覚している心身症状)をもとに、12項目をスコアリングした。
抑うつ→CES-Dを用いてスコアリングした。
自尊感情→Rosenbergが作成した自尊感情尺度のうち、10項目を用いてスコアリングした。
ワークモチベーション→国内における1万人以上のデータをもとに作成された調査パッケージMSQのうち、やる気度を測定する5項目を用いた。
情報的サポートネットワーク→あなたが働くうえで役に立つ情報をくれる人はいますか?という質問に対して、人数、その人の役職、接触頻度、親密性について情報を集約した。
友好的サポートネットワーク→職場を離れても付き合いのある人はいますか?という質問に対して、人数、その人の役職、接触頻度、親密性について情報を集約した。
のような形で調査が行われています。
結果
・事務職と専門職の間でワークモチベーションの得点に有意な差が認められた。
・入社3か月後の心身症状、CES-Dの値は高く、自尊感情は低くなっていた。
・入社半年後の心身症状、CES-Dの値は3か月後と比べて高くなっていた。
・入社半年後のワークモチベーションの値は、3か月後と比べて有意に低かった。
・情報的サポートネットワークのほうが、友好的サポートネットワークに比べて人数が多かった。
考察
新卒社会人のメンタルヘルスが3か月、半年後にかけて低下し続けていることは一時的なメンタルヘルスの低下に留まらず、慢性的なメンタルヘルスの低下が生じていることを示唆する結果でした。特に、ワークモチベーションの低下が最も起こりやすい傾向にあるようです。先行研究では、入社直後のメンタルヘルスの低下はその後のキャリアを予測する上で重要な要因であることが指摘されており、この時期のメンタルケアはとても重要です。
社内でのサポートネットワークはメンタルヘルスと相関があることから、企業は新入社員に対して社会人同士の結びつきを高める場が重要だと思われます。具体的には、ワークモチベーションの高い社会人は、仕事に役立つ情報をくれる多くの人と頻繁に接触し、親密性も高めていたことがわかりました。特に、ワークモチベーションの高い人の特徴として、役職の高い人で構成されたサポートネットワークを持っていました。これはおそらく、同僚よりも上司からの方が、具体的かつ明確な指示をもらいやすいためではないかと思われます。つまり、新卒社会人は具体的な指示を得ることで、仕事が明確化され、生産性が高まることが推察されます。また、友好的サポートネットワークに関しては、親密性の高い同僚と入社年度の近い先輩社員と仲の良い社員のワークモチベーションと自尊感情が有意に高い結果でした。
以上のことから、新入社員のメンタルケアに、情報的・友好的それぞれの人脈が必要で、特に情報的サポートネットワークの影響力が高いことが明らかになりました。
考えたこと
私自身もそうですが、やはり、入社前よりも現在の方がワークモチベーションやメンタルは落ちてきているように感じています。特に、上司の指示が包括的なあまり何をしたらいいのか分からない時や疎外感を感じるときに辛さを感じます。
研究結果で、より具体的な指示をくれる上司はワークモチベーションの上昇につながるということが明らかになりましたが、とても納得感が強かったです。例えば、仕事の指示をざっくりと与えられ、「後は自分で考えろ」というスタイルの指導方法もあるかと思います。指示待ち人間にならないためにはある程度自分で考えることも重要ですが、新入社員は、そもそも仕事の型が分からないので自分で考えるための情報や最低限の常識がない状態に置かれています。そのため、特に新入社員の教育においては、具体的な指示を与えらえれる上司の存在がワークモチベーションの上昇に寄与すると考えます。
また、自分の疲れ具合を客観的に把握したり、相談できる機会があると良いと思います。特に新入社員は自分から声をあげにくい人も多いかと思いますので、トップダウンで全社的なメンタルヘルスの対策が今後のワークモチベーションの上昇、離職者減につながってくることを示唆する論文だと感じました。
以上、とても長くなってしまいましたが、私自身の自己紹介と新入社員から見たメンタルヘルスの論文についてまとめてみました。
Medi Faceでは、社会人、Z世代のメンタルケアに重心を置き、はたらく人が本来の力を発揮できる社会をサポートするべく開発を進めています。
もし、興味がある方がいましたらご連絡ください。
Medi Magazine 編集部 大木