マレーシア紀行 二つの自由 vol.1

こんにちは。Medi Magazine編集部の大木です。
今回からは、後輩の佐藤くんが今夏経験した、マレーシアでの出来事について数回に分けて記事にさせていただこうと思います。
学生になり初めて海外に行った臨場感のある文章と、旅を通して考えたことが綴られていますので、宜しければご一読ください!


1日目 トランジット地獄

早朝。未曾有の規模の台風14号の列島直撃というニュースを聞かなかったことにして成田空港へ向かった。渡航後に両替をした方がレートがいいことは知っていたものの、不安だったので空港で2万円の円を560リンギットに両替した。2019年の地球の歩き方では1リンギット=25円なので、恐ろしい円安とレートの悪さである。

成田→クチン

10時45分にスクートのボーイング787型機は曇天の空に飛び立った。経由地のシンガポールチャンギ空港まで、およそ7時間半のフライトである。チャンギでの3時間のトランジットの間、空港内を散策した。とんでもなく広い。A-Dまでターミナルがあり、Cターミナル内でのトランジットだったが端から端まで歩くと20分ほどかかる。空港内部ということを考慮してもシンガポールの物価は高い。殆どインスタントラーメンのワンタン麺が900円、おにぎりが一つ200円。

20時15分に、スクートのA320機は定刻で夜空に飛び立った。21時45分にクチン国際空港に到着。海外へのフライトが初めてで勝手が分からなかった為に、クアラルンプール(KUL)のフライトをブッキングしたつもりがクチン(KCH)をブッキングしていた。Kしか合っていない。クチンが位置するボルネオ島はほとんど英語が通じない上、人口50万人ほどの地方都市なので空港設備もか弱い。日本の地方空港と雰囲気も大差ないが、Prayer roomが必ず整備されているのはさすがイスラム教の国である。僕の地元の青森空港といい勝負の規模なので20時には大半の店が閉まってしまい、到着したときに開いているのはコンビニのみであった。パンと水で150円。空港のコンビニでもこの安さである。店員は二人ともマレー語で何を言ってるのかが分からなかった上に、世間話が盛り上がってきた時に声をかけてしまったようでちょっと機嫌が悪そうだった。その日は私以外日本人を見かけなかったものの、案内表示にはマレー語と英語の他に日本語もあった。朝のフライトでボルネオ島を脱出するまで、仮眠を取る。ラウンジは使えないし休憩室は無いので、ベンチ睡眠。慣れない環境の疲れも相まってすぐに眠ることができた。

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初日のベッド
初日の夕食。ボルネオミネラルウォーターとピザパン。
☆がクチン国際空港。そもそも別の島に降り立ってしまったことがわかる。

2日目 ジャングル島からの脱出

早朝4時。寒すぎて起床。外の気温も27度とそこまで暑いわけではないのに、空港の窓にはびっしりと結露がついている。

とにかく室内の冷房が効きすぎているので、室内はカーディガンやジャンパーが必須である。あまりに寒いので屋外に移動して、空港がにぎやかになるのを待つ。聞いたことのないやかましいカエルや虫の鳴き声で外の方が賑やか絵である。改めてここが熱帯のジャングルのど真ん中であることを実感した。

クチン→クアラルンプール

7時になるとぼちぼち店が開き始めたので、ターミナル内でフライトを待つ。首都に向かうフライトだったため、機体はAir Asiaの787型機である。大型機は揺れが少ないのでありがたい。9:00定刻にフライト、10:50にクアラルンプール国際空港第二ターミナルに着陸。SIMカードを装填し、駅に向かう列車を目指すがホームが見当たらない。その辺を歩いていたコンシェルジュ青年に尋ねると、バスのほうが安いのでバスターミナルに行くよう言われた。マレーシアで一番聞き取りやすい英語で助かった。若い人の英語の方が癖が少なくて聞き取りやすい。

日本と同じ右ハンドルのバスに乗車。中心部までおよそ50分で料金は450円。空港を出て20分ほどで徐々に高層マンションや住宅が多くなる。伝統的な住宅は赤い屋根で、石垣島の民家を想起させる。高層ビルと下町が折り重なっている様子は墨田川周辺に似たものを感じた。

KLターミナル駅に到着。駅の雰囲気は日本と大差なく、表示もわかりやすい。ICカードが無いのでトークンを購入。トークンとは切符の役割をもったプラスチック製コインで、乗車時は改札にタッチし、降車時は改札のトークン入れに入れるとゲートが開く。乗車車両にいた日本人は自分一人だったが、誰にも気にされなかった。マーケット最寄りのPasarseni駅へ。二駅の乗車で50円。セントラルマーケットは観光客向けで客引きが多く、あまり魅力的ではなかった。だいたいコンニチハ→アニョハセヨの順で話しかけられる。

少し歩いたところにあるチャイナタウンとペタリンストリートへ。ペタリンはマレー系と中国系が半々くらいで、コピーのヴィトンからかき氷まで何でも売っていた。屋台にも自店のSNSアカウントのQRコードを貼っている店があったりして、人気を博していた。SNSの利用方法として、このように顧客に広告を担ってもらうのも個人事業主にとって効果的なのだと感じた。食堂でラーメンとラムの串焼きを食べる。中華はどこに行ってもあるし、外れがない。

チャイナタウンはペタリンストリート途中の本当にここかよと思うくらい薄暗い路地に入っていったところにある。最初salonという文字に惑わされ大きめの門から入りかけたら、全てタトゥーショップで照明は豆電球だった。危ない危ない。細道から入ると、屋台に続いて強烈な獣臭がする。生きた鶏が買われていて、その目の前で解体していた。あくまでここは観光地でなく市民の為の市場であることを実感した。ドミトリーのチェックイン時間まで周辺を散策。メインの道路は車がひっきりなしに往来しているが、路地裏に入るととてものどかな空気が流れていて、座り込んでおしゃべりしている人もいる。ドミトリーの隣にあったフルーツショップでおばあちゃん手製のミックスジュースを飲む。メニューは一応書いてあるものの水で滲んでいて読めないので、適当に果物を3種くらい指さすとミキサーにかけてくれる。前の人のやつも多少残っているので、実質5種類くらい入ったジュースは驚くほどうまい。今まで飲んだジュースの中で一番美味しかった。

時間になったのでドミトリーにチェックイン。一泊およそ900円。カウンターのおじさんは気さくな人だが、英語に癖があってあまり聞き取れない。マレー人は年齢がわかりにくい顔つきをしているが、癖のある英語だったのである程度年齢がいっていると思われた。即刻2日ぶりのシャワーに入る。絶望的な水圧。洗濯を済ませて仮眠を取り、18時ころにペトロナスツインタワーへ。海外日本食に興味があったのでタワー内で帝国寿司を食べた。日本食はどこに行ってもかなり割高(8貫で450円)なので、立地を考慮したにせよリッチな食事なのだろう。生物はサーモンくらいしかないし、葉物野菜かアボカドが入っている。今日のメインの噴水ショーへ。ペトロナスツインタワーをバックに噴水ショーが見られる。一つのプログラムが20分くらいあるので19:30以降はずっと見られる。20:00からの音楽バックのメインプログラムが始まると人が増え始める。噴水ショーはそこまで華やかではなかったが、バックのツインタワーが本当に美しかった。一人で見ているのは僕くらいだった。

帝国寿司
3種類を選択するとミキサーにかけてくれる。前の人が選んだやつの残りもデフォルトで入ってくる。

ここまでが2日(といっても移動が大半なので滞在は1日)の紀行記である。長い。帰国してから編集を行っているので、見るものすべてに感動していた様子を思い出して懐かしくなってくる。自由な雰囲気を伝えることができたら幸いである。この先、首都を離れて地方を2都市訪問する。また違った発見と感動もあったので、是非読んでいただけると嬉しい。

次回はマレーシア♡マークの都市Penangまで北上、最終回は中間地点のIpohに立ち寄る。


Medi Magazine編集部 佐藤

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